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「ゆっくり底を探れるハードルアー」を作る 第2回 シンキングでできること

底用ルアー、フローティングかシンキングか

フローティングなら、潜らせて、何かに当たったら「止めて、浮かせて」回避できる。
なにより「浮いている」ことの安心感は半端ない。
でも、岸から釣る時、ディープダイバーだとしてもフローティングではそもそも到達できない部分があります。

着水点からかなり離れたところまで引いてくる間の深い部分を直接は探れない。

シンキングのメリットの一つがフローティングで到達できない部分に届くこと。

概ね遠投ができて、着水点から足元まで底を探って来られる。
だから岸からでもシンキングを使うけど、皆ある程度の根掛かりリスクを冒して使っている。
よく知っている場所や引っかかる物のない場所でない限り、根掛かるのでは?という不安は常にあり、じっくりかつ底ベッタリを探れることも少ない。

シンキングの利点: きっちり底をとれる 着水点から足元まで
シンキングの欠点: 「浮かせて回避」ができない

シンキングでできることをやる

このルアーは機能的にはワームのように底を探れることに近づきたい。
だからと言ってワームが最高と思っているわけでわないので、
ハードルアーとして、ワームにはできないことをやれるルアーにする。
ハードルアーしか使わない人もゆっくり底を探れるルアー。
ワーム禁止の釣り場で、既存ハードルアーにはできない釣りができるルアー。
なのでここはどうしてもシンキングに分があります。

「根掛かりしない」は無理でも「根掛かりを減らす」工夫はできる。
その工夫が加えられればシンキングが使いやすくなるし、使いどころを広げることができる。
ルアーの形、カテゴリー、ジャンルはもう出尽くしたのか?といえばそんなことはない。
不安な部分を減らしつつ、新たにできることを増やすような工夫を加える余地はまだある。

バイブレーション底使い

シンキングで底を探るものとして今回(も)目を付けた既存のルアーはバイブレーションです。
バイブレーションを底まで沈めて引いてくる釣り方があります。
遠投できてすぐに沈んで底が取れる。
止めずに底を取りながら引くやり方もあるし、ポンポンと引いて止めてを繰り返してくるやり方もある。

バイブレーションって意外と底を探るのにも適している、というより選択肢が少ない中で選ばれていた面もあるかもしれないけれど、ミノーのようにリップという引っかかるものがない分、すり抜けやすい形に属するルアーなんだろう。

フックという一番の引っ掛かり要素を除けば。

この底使いをするバイブレーション(リップレスクランクもメタルバイブも)のフックをダブルフックに替えたりしているのは底のものを拾ってくるからだし、何よりルアー自体が底の物に引っかかって帰ってこなくなるから。

シンキングだけど前に重心が集中していてボディを立たせる浮力があるバイブレーションは素晴らしくて、止めても倒れず立っている。
「バイブレーション底使い」に合っているし、その登場でこの釣り方をやる人も増えたんだと思う。
でも自分の中では底を探ることに関して既存のバイブレーションの形が最適でこの問題は終了、とはならない。

まず、多くの人がフロントフックをダブルフックにしてこの釣りをしているように、フックが常に底についていること。
底にある枝、葉っぱ、ごみなどを拾ってしまうことと、フックでの根掛かり。

そして、(底が堆積物のない石・岩・コンクリート?などは別として)底に堆積土・堆積物がある場所の方が多いから、バイブレーションが頭を下にして底を引かれてくるその時に、頭は底のものに埋まっているのが通常。

場所によってはボディの半分くらい埋まってるんじゃないのか。
魚にとっては食いにくいのじゃないか?
と思うのは、これを魚が魚だと思っているのであれば、本来頭側から喰いたいのじゃないかと思うので。(エビだと思っている場合は逆なのかな・・)

バイブレーションの底での釣り方で釣れた時、特にチョンチョンと断続的に細かく引いて来た時に釣れた魚は、はじめリア(後ろの)フックのみに掛かっていたことが多かったと思う。最初に掛かるのはリアフックで、寄せて来てフロントフックも掛ける感じ。
このとき魚は、底をちょんちょんと動くバイブレーションを下向きに観察しながらついてきて、止まった時に尻尾の方をついばんだ(釣ってる方は気づいてない)、そして次にちょんと引かれた時に軽く合わせを食らった形になってフックに掛かった、ということなんだろうと思う。
(だからロッドを煽りながら引いたり細かくトゥイッチする引き方は、気づかないうちに魚が咥えているのを小さく合わせていることにもなってるんだと思う。)

頭が泥に埋まっているようなことが魚を誘うこともあると思う。
でもバイブレーションの形は底で頭を埋めるようにデザインされたわけじゃない。
元々バイブレーションはグリグリ巻いてゴンと食われる時のことを想定した形・フロントフックの位置で、「底でも」使えるということであって、底専用じゃない。
底専用で考えるのであればまた別の形に枝分かれしていく進化の方向もあっただろう。

底をじっくり探れるようなハードルアーが少ないのは「その領域はワームの世界」と考えるからだと思う。
ワームを使わない人・ワームを使わない釣り・ワームを使えない釣り場以外では「それならワームを使えばいい」となる。
だからわざわざそこにつっこんでいったルアーは多くなかったんじゃないかと思う。

ディープクランクやディープダイビングミノーのあの長いリップはいいなと思う。
フックを底と障害物から遠ざけてくれるし、「頭埋まる問題」もない。
フックが底を切っている。
ボディも底を切っている。
いいんだよね。

(つづく)