斜め泳ぎを解消したい
ここまではこのルアーが泳ぐ時、ブレード部分は水の抵抗が少ないのに対して、ボディは抵抗を受けるため、ルアー後部が遅れる形の「斜め泳ぎ」になっていました。
斜め泳ぎではダメな理由の一つめは、動きの点でバイブレーションの良さを発揮できないこと。
斜めに水が当たることによって体を抵抗から逃すような揺れの動きがあっても、それはこのルアーで目指すものとは違う動きだから。
このルアーはミノー的なボディを持っているが動きの仕組みとしてはブレードベイト、というものを目指しています。
ダメな理由のもう一つは、斜め下に向いてる背中に当たる水の抵抗で下に下に潜ろうとすること。
それもこのルアーに求めるものとは違う動き。
底まで沈むけど、それをさらに潜るような方向に行かせたくはなくて、ロッドを立ててあおると引いた瞬間少し上昇させられるぐらいが理想的。底をピョンピョン跳ねさせられるイメージ。
斜め泳ぎを解消することを考えます。
支点を後方に置く
・アイ位置を後ろに配置する=リップを長くする
ひとつは支点となるラインアイを全体の長さに対してここまで試したものより後方に持っていくことです。
例えば全長の半分、中間あたり。
きたないメモ書きですいません。
ここまでは、先に作っていたルアーの一部をそのまま使っていたので、このルアーにとってはラインアイが前にありすぎました。
斜め泳ぎは当たり前とも言えます。まずは本来考えていた長いブレード(=リップ)にします。
ここまで使ってきた前作のブレードの幅のまま、長さを長くします。
リップが長くなり、アイ位置(穴)は全長の中間にしてみました。
ボディも今度は円柱ではなく、ミノーっぽい、こんな感じにしたいと思う形、かつボディの抵抗を減らすため厚みを薄くしています。
抵抗の問題ともう一つ、動きを良くするように(というか動くように)薄くするということがあります。
ただし底で立つための浮力をボディで確保することの兼ね合いもあるので薄さにも限度があります。
とりあえず水に入れてみます。
この材料ではこの大きさでも底で直立します。
動くか?
動きます。
ゆっくり引いても動いています。
しかし斜め泳ぎが解消されたとは言えず。
やはり後方が遅れる斜めの姿勢が残っています。
そしてもう一つ、このままでは気に入らないなあと思ったことが出てきてしまいました。
それは「このままで、もっとよく動くようにできたとしても、この方向では動きが小さいなあ」ということ。
初めからわかっていたことだけど。
実際に見ても予想外のよさみたいなものがなかった。
斜め泳ぎとは別のことが気になってしまった・・
よく動くようになっても動きが小さいとはどういうことかというと・・
ミノーやクランクベイトが体長方向を左右に振る、つまり尾や頭を振る動きに対して、バイブレーションは体高方向を左右に振る、つまり背や腹を振る動きの要素が大きい。
その分振り幅が狭いので、背や腹をよく振ったとしても見た目の動きは小さい、という意味です。
バイブレーションに体高の高いものが多いのはそういう理由もあると思います。
このルアーはミノー的なボディに長いリップをつけて余計に細長い(体高が低い)形にしようとしています。
今見ている動きは、その細い方向のみに体を捻ひねっている感じなので動きが小さい。(最初の動画を見ていただいた通りです。ちなみにブレードベイトの縦横比は細長いほどピッチが細かくなります。)
それが釣れる、ということもあるだろう。
でもまず、もう少し動くものを作りたい。
動くものを作っておいて「もう少し動きを抑えたい」と思ったらそうすればいいけど。
その逆をやりたい時はどうすりゃできるんだ、となる。
できるなら「できておきたい」。
よく動くようにするに考えたこと
この記事の第1回目で、このルアーはどういうものとして作るのか、という中に「泳ぎもミノー的な尻振り(にしたい・・)」と思っていたと書きました。
ブレードベイトの仕組みで尻を振るようにするには・・
・支点の位置を変える
・ボディの取付角度を変える
・ボディの途中に角度をつける
が浮かびました。
支点の位置とウエイトの位置のバランスで背・腹方向を振る動きの中にも尾側の方が大きく振れるようになるのはあると思う。前作のブレードはそんな動きです。
しかし今は斜め泳ぎを解消するために支点の位置が限定されようとしているのでここでは除外します。
ボディの角度を変える、ボディに角度をつける、というのは背・腹を振る方向の動きを尾を振る方向の動きに変換?しようとするも試みです。
それで「もう少し動くもの」にしたいのです。
斜め泳ぎを解消するように考えたこと
それはそれとして、まず解決したかったのは斜め泳ぎを解消のためにボディに受ける水の抵抗を減らすことで、そのために形で工夫できないか考えたことは・・
・ボディを薄くする
・リップに対するボディの取付角度を変える
・ボディの途中に角度をつける
・ボディをカーブさせる
です。
一部、動くようにする案と一緒の内容です。
そこをうまく作ることが両方の問題を解決することになるのか・・。
まず、水の抵抗を減らすためには薄くすることが一番の方法だと思う。
でもボディの浮力で立つようにしたいので、ボディ体積を少しでも稼ぎたいことも同時にある。
両立させられるところで決めようか。っていうか決まってくるのか。
そして、リップに対してボディの取付角度を変えること。
例えばリップに対してボディを45度傾けて付けるというのはボディの受ける抵抗を減らすひとつの手
ようですが、これは形状自体が斜め泳ぎではないか。アイの位置によるものの、背中に斜めに受ける抵抗はやっぱり下に下に潜ろうとする。
ではリップに対してもっと角度を付けて90度くらいにしたらどうか?
この案は捨ててない。
捨ててないけど、このルアーには長いリップがあり、それに対して長いボディが直角についているという「さしがね」みたいな形はオモリを前方にして飛んでいく際のボディの抵抗が大き過ぎて却下せざるを得ない。今回は。
ボディを途中で折るのも、カーブさせるのも、あまりしたくはなかった(考えたくなかった)。
真っ直ぐな方がカッコいいと思っていた、というだけの理由ですが。
ディープダンビングミノーの長いリップが縦向きになってる、そんなのがカッコいいなーと思っていたというのが始まりにあるから・・
このルアーではそこは捨てて進もう。
カーブの良さを発見!(知らなかっただけ)
ボディを単純に途中で折れた形にする前に、それに近い形でエビっぽい形をやってみました。
尾が折れた感じにするとその部分が左右に触れるので、尾部分以外変わってないのですが、動くようになってます。
次に単純に途中から折れた形にして泳がせてみました。
これも尾をぴこぴこ振っているような感じに泳ぎます。
ボディを曲げただけなんだけど、背腹方向の動きを尾を振る方向の動きに変えられたようでちょっぴり嬉しくなる。
途中で折れた形もエビ形もカクカクした動きかなあ、という気がしたので、次は緩やかに曲がるような形にしてみました。
やっぱりカーブの方がナチュラルな動きに見えます。
上から見た感じも、正面・後ろから見た感じも生き物的になりました。
カーブが自然な方がいいのかな・・
動きのこと以外は考えず、いい感じと思える形にしてみます。
しばらく泳がせて見てました。
「なんか、柔らかいもののように見える」
なんというか、ふにゃふにゃしているもののように見えたのです。
やわらかい生き物がふにゃふにゃと尾?を振って動いているみたいだなと。
そう見えない?
(写真・動画 ここまで2023.1.24)
カーブしたものが3次元的に動いている時ってそういう見え方するんだな。
しばらく見てて、これは今、なんの塗装も装飾もしていない、材料の色で見ているから余計にそう思うのかと思いました。
削っただけの材料、白っぽい単色、反射もない。
例えば魚的な、背中が黒っぽく、側面が金や銀、腹は白く、っていう塗装や仕上げがされているものだと今の見え方にはならないのではないか?
このルアーには単色が合うのかもしれないな、と思いました。
つづく
(ここまでこのルアーを考えていく過程でのボディー材料にはポリスチレンフォームを使用していますが、これは切ったり削ったりの手間が簡単で思いついたことを試しやすいからで、実際にこの材料がルアーになっていくわけではありません。)